大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)1846号 判決

本籍並びに住居

東京都練馬区下石神井二丁目一三一五番地

無職

渡邊暢子

昭和七年七月三一日生

右の者に対する窃盗被告事件について昭和二五年五月三一日東京高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人の父渡邊武夫から上告の申立があつたので当裁判所は刑訴施行法第二条に則り次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人宮部二郎上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

原判決挙示の証拠により判示事実を認め得るばかりでなく、事実誤認の主張は上告適法の理由とならないから論旨は採用しがたい。

第二点について。

記録に徴するに本件は昭和二四年四月二〇日に控訴申立がなされたのであるから原審においては新少年法の規定を適用すべきものである(新少年法は昭和二四年一月一日から施行された)従つて旧少年法に基いて原判決の違法を主張する論旨は理由がない。なお所論旧少年法第六四条第三一条に相当する規定は新少年法第五〇条第九条であるが同規定は訓示的規定であると解すべきであるから(昭和二五年(れ)第三四〇号同二五年五月二五日第一小法廷判決参照)同条の規定に違反するところがあつたとしてもこれを以て違法ということにはならない。従つて論旨は採用しがたい。

よつて旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

検察官 福島幸夫関与

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例